Sunday, August 21, 2011
PARADISE LOST - ウエストメンフィス3の釈放
8/19/11、ウエストメンフィスで起きた殺人事件で懲役を受けていた3人が18年ぶりに釈放されました。
ラジオで天気予報を聴いていたうちの旦那が、「ウエストメンフィスの3人、釈放されたって言ってるけど本当かな?」と言うので、半信半疑で検索してみたら、本当に釈放されたとの事で、本当に驚きました。
釈放と言っても無罪が証明されたからでは無く、18年の拘束で相応の処罰を受けたので、3人が罪を認める書面にサインをするという条件での釈放でした。法律の事は良く分からないですが、何ともすっきりしない形での釈放でした。
18年前に3人が受けた判決は、ダミアンは死刑、ジェイソンとジェシーは無期懲役。ジェイソンは、今回の罪を認める書面のサインをした上での釈放を最初は拒み、あくまでも無罪を主張し続けたかったそうですが、死刑判決を受けているダミアンの死刑執行を回避する為と、もうひとりのジェシーの釈放の為に、苦渋の決断でサインをしたそうです。
ダミアンはサインに躊躇は無かったそうで、とにかく地獄の日々から逃れたい、無罪は釈放後に証明してゆけば良いと思ったそうです。一時、ダミアンの死刑執行は3週間後に迫った事もあったそうで、取りあえず釈放を望むのは当然の事だと思います。
この事件、アメリカでは有名で、当時彼らは高校生で、悪魔信仰のカルト殺人事件と報道されましたが、当初から冤罪である可能性が高いと言われていました。
事件の詳細は、こちらやこちらです。
ジョニー・ディップ、マリリン・メンソン、エディー・ヴェダー、ウィノナ・ライダー、パティ・スミス等々、多くの有名人が、3人の再審請求活動、釈放を訴えるなどの支援を続けた事で、多くの人に知られる事にもなりました。
この事件の追ったドキュメンタリー映画『PARADISE LOST:The Child Murders at Robin Hood Hills』『PARADISE LOST 2:Revelations』では、裁判の流れ、どの様な環境で起きた事なのかが良く分かります。
警察の捏造や隠匿、町ぐるみでの魔女狩りの様な裁判、とても怖い内容です。
裁判では、悪魔信仰の証拠として、ノートに書かれたピンクフロイドの歌詞の一節、スティーブン・キングの小説等が、真剣に提示されてました。
悪魔信仰の証拠???意味が分からないです。
このウエストメンフィスという町は全米一貧しく、狂信的なキリスト教信者の多い地区です。このドキュメンタリー映画、3人の少年達よりも大人達の方が怖く、誰が犯人でもおかしくない感じで、『ツイン・ピークス(Twin peaks)』の様な、独特な空気を持っています。
こんな所に産まれないで良かった、と心底思います。
ダミアンは、事件以前も、何か事件が有る度に警察に呼び出され、取り調べを受けていました。
理由は、黒髪で常に黒い服を着ている、いつもヘヴィメタルを聴いている、ウィッカに興味がある、ホラー映画ファン、難解なオカルト本を愛読している、等々。
シニカルで大人びて論理的な口調も、大人をイライラさせていた様です。
こんな閉鎖的な田舎町で、音楽を聴いたり、好きな本を読むというのは、当たり前のストレス解消方法だと思いますけど、、、物的証拠も、目撃証拠も、一切有りません。
知的障害の有るジェシーを、10時間以上監禁と尋問をした上での自白のみです。
この自白を彼はのちに撤回し、裁判での証言を条件に、無期懲役の刑期を短くする司法取引にも応じていません。
被害少年の遺体に残っていた歯形は、歯並びの悪い歯形で、3少年のものとは一致していません。
被害少年の義父は歯並びが悪く、事件後全て抜き、総入れ歯にしています。
ドキュメンタリー映画のスタッフが出した謝礼金に気を良くしたこの義父は、ナイフをプレゼントしたのですが、このナイフに血痕が付着していました。
映画のスタッフがナイフを警察に持って行った所、後日、この血液サンプルは紛失しました。(こんな大事なものを無くすなんて、隠匿以外有り得ないと思いますけど、、、)
他にもおかしな事は山程有りますが、ざっと書いた以上の事だけでも、これで死刑判決まで出してしまうなんて、どう考えてもおかしな事です。
釈放後の記者会見では、3人ともまだとても困惑している様子です。
変わり果てた容貌に、18年の長い年月を感じました。
この釈放には、ダミアンと獄中結婚して支援し続けた女性の功績も大きかった様です。
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