Sunday, May 31, 2009

SOCK MONKEY


ソックモンキーとの出会いは、15年程前、NYに来て間もない頃。
Urban Outfittersで見かけ、その何とも言えない手触り、暖かみのある表情に一目惚れしてしまいました。
このお店、大半はアパレルですが、中々ファンキーな玩具や本も沢山扱っていて、面白いお店です。


一緒に買い物をしていた友人が、アメリカで有名なモンキーである事を教えてくれました。

100年程前に、お金が無くて孫にクリスマスプレゼントを買ってあげれないおばあちゃんが、労働者用の靴下を使ってぬいぐるみを作ったのが始まりと言われているそうです。


3年程前に突然思い出してネットで検索してみたら、Rockford Red Heel Sockという靴下だと分かりました。
色々な所で買えますが、私は
こちらでSとXLを購入しました。
作り方はこちらで、モダンパターンとヴィンテージパターンの2種類あり、ミシンを使えば、2時間もあれば簡単に出来上がります。
一組の靴下のほとんどを無駄無く使い切って作るというのも、何とも愛らしく感じます。


友人に赤ちゃんが産まれるとソックモンキーをプレゼントしています。
中綿を洗濯出来るタイプのものにしているのでママにも喜んで貰えるし、
手触りが柔らかいせいか赤ちゃんも気に入ってくれます。
中綿は、ちょっと少な過ぎるかな〜と思う位で丁度良いです

目はボタンでも何でも良いのですが、赤ちゃん用には刺繍の方が安全だと思います。


うちの子はソックモンキーと一緒で無いと眠れない程大好きなので、どんどん増えて、今や犬猫も含め合計6体になりました。

頻繁に洗濯をしているので、これでも足りない程です。


数年前、アッパーイーストサイドを歩いていたら、通りの向こうにあるお店の中に巨大なソックモンキーの写真を発見しました。

何の店かと思って覗いてみると、メキシコ料理店でした。

BLOCK HEADSというお店で、壁いっぱいソックモンキーの塗り絵で埋め尽くされていました。
お腹が減っていたので入ってみたのですが、お勧めです。

ウエイトレスさんに頼むと、塗り絵の紙と色鉛筆を持ってきてくれ、出来上がった塗り絵を壁に貼ってくれます。

一口に塗り絵と言っても奥が深く、一枚一枚かなり個性的で、食べながら展示されている作品の数々を眺めたのですが、これが本当に飽きません。

楽しい空間での食事は、一層美味しく感じられます。

ソックモンキーは本も沢山出版されていますが、お勧めは
Sock Monkeys: 200 out of 1,863」。
Ron Warrenさんのソックモンキーのコレクションを、写真家のArne Svensonさんが撮影したソックモンキーのポートレート写真集です。
モノクロの写真から、問いかけてくる様な、感情があるかの様な表情の数々、見飽きる事は無いです。

私も自作のモンキーを写真集の様に撮影して、モノクロに加工して真似してみました。(笑)
どうです? 何か問いかけてきましたか?


Tuesday, May 19, 2009

「猫と庄造と二人のおんな」と「A Cat, a Man, and Two Women」


「猫と庄造と二人のおんな」は谷崎潤一郎の作品の中でも、好きな作品のひとつです。
谷崎潤一郎の作品には、度々魅力的な女性が登場しますが、この作品では猫のリリーがその役です。
猫好きとしても有名な谷崎潤一郎が、その猫の愛らしさを見事に描いて、猫好きな方は勿論ですが、そうでない方も楽しめる作品だと思います

庄造は何よりも猫のリリーを愛している。
二人のおんなは庄造を取り合いながら、猫のリリーに強く嫉妬をしている。
リリーにしてみれば、そんな事はどうでも良くて、猫として気ままに日々暮らす。
タイトルの順番が、そのまま力関係を表していると思います。 

英語版では「A Cat, a Man, and Two Women」で出版されています。
この作品は主人にも読んで欲しかったので、英語版も購入しました。

英語版は、表紙のデザインが素敵です。
ただ,表紙の白い猫はリリーとは大分違うイメージですが。
リリーの容姿を表現した一部を抜粋しました。

英吉利人はこう云う毛並みの猫のことを鼈甲猫と云うそうであるが、茶色の全身に鮮明な黒の斑点が行き瓦っていて、つやつやと光っているところは、成る程研いた鼈甲の表面に似ている。(中略)肩の線が日本猫のように怒っていないので、撫で肩の美人を見るような、すっきりとした、イキな感じがするのである。(中略)リリーの顔は丈が短く詰まっていて、ちょうど蛤を倒まにした形の、カッキリとした輪郭の中に、すぐれて大きな美しい金眼(後略)

主人もとても面白かったと言っていたので、何人かの友人にも貸しました。
皆とても良かったと言っていますが、そのうちの何人かが、何故、二人のおんなは庄造の様な人を取り合うのか、その気持ちが分からないとの感想を言ってました。
確かに、庄造はかなりの駄目人間だし、日がな一日猫と遊んでいたいだけの甲斐性なしなので、正論だと思います。

でも、私はこのキャラクターは憎めないというか、猫に愛情を注いでいるだけで、まったく悪意のない所なんかは好きです。
庄造は柔らかい関西弁で話すのですが、その言い回しが何とも力の抜けた感じなのも心地良いです。
英訳版を読んでみましたが、その独特な言い回しが消えてしまっているので、庄造の持ち味が半減している様に感じました。
仕方無い事ですが、とても残念です。

谷崎潤一郎の多くの作品は関西弁で表現されていますが、言葉が本当に美しく、何度も繰り返し読みたくなります。


Monday, May 18, 2009

花粉症

毎年、この季節になると花粉症に悩まさ続けています。
日本に住んでいた時ひどかった花粉症がNYに住み始めてからぴたりとやみ、花粉症から解放されたと喜んでいたのもつかの間、3〜4年を過ぎた頃から再発しました。
以来,春になると、薬無しでは息をするのも苦しい程です。
日本ではマスクをして外出するのは普通の事ですが、NYではマスクをしている人を見かけません。
あまりにひどい状態の時にマスクをして歩い事もあったのですが、人からじろじろ見られるし、大丈夫?と心配して声をかけてくる人もいて、注目を集め過ぎるマスクは、付けるにも中々勇気がいります。

最近は色々な良い薬も出まわっているので、色々試しています。

Nasal pot
数年前に、友人の通っているいた耳鼻科で販売されていたのを買ってきて貰いました。
食塩小さじ1とぬるま湯を入れ、片方の鼻の穴に当て食塩水を流し込み、もう片方の穴から出す。
食塩が体液と同じ位の比率なので、プールで鼻に水が入った時の様な痛みはまったくありません。
息を止めるとうまく流れないので口で呼吸をしながら行なうのですが、口を開いたまま、鼻からダラダラと水が出てくる様子はちょっと間抜けですね。
でも、かなりすっきりするし、風邪の予防にもなるとの事なので、アレルギーの無い方にもお勧めです。

友人も帰宅後、手荒い&鼻洗いはセットで行なわないと気がすまないと言っていますが、私もこまめに鼻洗いをする様になってから随分症状が緩和されました。
その後、大手のドラックストアで似た様な鼻洗いポットを何度か見かけたので、耳鼻科でなくても入手出来ると思います。

Allergen block
今年初めて使い始めたAllergen blockは、鼻のまわりに塗って花粉やダストをブロックするジェルです。
正に帯電したジェルが,負に帯電した花粉を捕えるとの事。
まだ使い始めて一ヶ月程ですし、これを塗ったからといって完全にブロックされているとは感じないので、人に勧める程の物ではないかもしれませんが、私は少しでもブロックしたいので、しばらく使ってみようと思っています。

春はバルコニーでガーデニングをしていて、毎日成長をする葉っぱを見ていると楽しくなる、大好きな季節。
アレルギーなんかに楽しみを奪われたくないので、日々花粉と戦っています。

Friday, May 8, 2009

Paris Je t'aime

18編からなる「愛」をテーマにした作品で、パリ20区のうち18区を舞台に繰広げられる、1編5分程のショートストーリーです。
とにかく監督&俳優のの顔ぶれが豪華で、5分のという短い中に、それぞれの人生観や日常のひとこまが見事に描かれています。
作品の間に映されているパリの景色も素敵で、今すぐパリに行きたくなりました。

パリを舞台にしたオムニバス映画と言えば、
1965年の名作「パリところどころ(Paris vu par...)」
1984年「二十年後のパリところどころ(Paris vu par... vingt ans apres)」
こちらも一緒に楽しむと面白いと思います。

すでにアメリカでは公開されている「New York, I love you」も観たいと思っています。

特別なパリではなく、いつものパリを切り取った様な物語の数々、どの作品もきらきら輝いていますが、特に私の好きな8作品を紹介します。



7区「Tour Eiffel」シルヴァン・ショメ監督作品(Sylvain Chomet

私の一番好きな作品で、DVDで何度も繰り返し観てますが、観れば観る程、増々好きになります。
ショメ監督の初の実写映画で、アニメ同様、音楽も良いし、映像も本当に可愛いです。
期待を裏切らない監督です。

孤独なパントマイムの男が主人公で、アパートのドアには「CON DE MIME」(英訳ではMIME ASSでしたが、日本語訳はどうなっているんでしょうか?)なんて、ひどい落書きがされているし、皆から白い目で見られているけれど、笑顔や走り方がとても愛らしく、私は思わず抱きしめたくなります。

監督がインタビューで話されていたのですが、パントマイム達は化粧をしてパントマイムを演じているのではなく、パントマイムとうい種類の人達。
つまり彼らは朝起きた時から素顔が白塗りの顔なんだそうです。

全編映像が美しく、特に恋に落ちてからの映像はため息ものです。
長編で続編映画を作って欲しくてたまりません。


1区「Tuileries」コーエン兄弟監督作品(JoelEthan Coen)

コーエン監督は今回も裏切らず、5分間の間で随分笑わしてくれました。
本当に大好きな監督です。

主人公は、モナリザ好きの冴えない中年アメリカ人観光客。
コーエン作品の常連でもある、私の大好きなスティーブ・ブシェミ(Steve Buscemi)が主人公で、こういう冴えない役を演じたら右に出る者がいないと思います。


DVDに収録されていたインタビューで聞いたのですが、どの作品も1〜2日での撮影だったので、多くの監督が天気に悩まされたそうです。
コーエン兄弟が地下鉄のホームでのロケを決めたのは、短い撮影期間では天気を選べないから、天気に左右されない様にとの事だったそうです。


6区「Quartier Latin」フレデリック・オービュルタン&ジェラール・ドパルデュー監督
作品Frederic AuburtinGerard Depardieu

監督の一人はジェラール・ドパルデューで、俳優としてとても有名ですが、監督としても才能のある方です。
別居中の老夫婦が、それぞれすでに恋人もいて、正式に離婚する為にレストランで話し合いをするという物語りで、会話の中にそれぞれの微妙な気持ちが上手く表れているなと思いました。
脚本は妻役のジーナ・ローランズ(
Gena Rowlandsが手がけ、76歳での脚本家デビューだそうです。
年を重ねても相変わらず素敵で、そして本当に多才な方です。
夫役のベン・ギャザラ(
Ben Gazzaraも、本当にいくつになっても素敵です。

この2人はテレビ映画の「Hysterical Blindness」でも共演しているのを観た事がありますが、この映画の中での2人の恋は本当に素敵で、特にダンスを一緒に踊るシーンは,観ているだけで顔がほころんでしまいます。
ベン・ギャザラはこの作品でエミー賞を受賞されました。

両作品とも、「Buffalo'66」での、ビンセント・ギャロ演じるビリーのエキセントリックなパパ役とは大分イメージが違います。


2区「Place des Victoires」諏訪敦彦監督作品

主人公は、一週間前に息子を亡くしたばかりの母親。

母親を演じているのはジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)で、カウボーイはウィリアム・デフォー(Willem Dafoe

この監督の作品は初めて観たのですが、心に染み込んでくる、素晴らしい作品だと思いました。

とても悲しい話なので、今こうして思い出して書いているだけでも涙が出てきます。



5区「Quais de Seine」グリンダル・チャーダ監督作品(Gurinder Chadha

主人公はセーヌ河岸で、友達と一緒に通行人をからかっている青年。

目の前で転んだアラブ系の女性を助け、彼女の美しさと純粋さに心を奪われてしまう物語なのですが、本当にこの女性が美しくて、私の心にも強く残りました。


14区「14e arrondissement」アレクサンダー・ペイン監督作品(Alexander Payne

主人公は、デンバーから憧れのパリへ訪れた、郵便局に勤める独身の中年女性。

ひとりで歩き、ひとりで食事をし、ひとりで景色を眺める。
話し相手がいなくて少し味気ない思いの中、公園でひとり、あることを思う。
何でもない話なのに、とても強く印象に残りました。


16区「 Loin du 16e」ウォルター・サレス監督作品(Walter Salles


パリ郊外に住む移民のシングルマザーが、産まれて間もない子供を託児所に預け、16区の豪華なアパートに住む一家のベビーシッターの仕事へ向かう。

贅沢な子供部屋で泣いている赤ちゃんに、最愛の我が子をあやす時と同じ子守唄を歌う。
両方の赤ちゃんの顔の映し方が印象に残りました。


19区「Place des Fetes」オリヴァー・シュミッツ監督作品(Oliver Schmitz


ひとめ惚れをした女性と一緒にコーヒーを飲む夢をかなえたいと願う,孤独な男性の物語。

男性の歌う歌が印象的です。